逃走の果てに掴んだ真実——映画『正体』が2026年の今なお世界中で揺さぶり続ける「確証バイアス」と「人間性」の真価
『ヴィレッジ』や『余命10年』など、話題作を連発してきた藤井道人監督。彼の演出は本作でも冴え渡っている。逃亡劇ならではの緊張感溢れるサスペンスフルなカット割りから、季節の移ろいを感じさせる静けさ漂う情景描写まで、光と影の使い分けが絶妙だ。
特に警察の捜査網が徐々に狭まっていくシークエンスでのテンポ感は圧巻で、観客の手汗を握らせる。しかし、単なるアクションスリラーに終わらせないのが藤井組の凄みだ。逃亡の合間に挿入されるふとした会話や、夕暮れ時の空気感といった情緒的な描写が、緊張と緩和の美しいリズムを作り出し、物語に深い奥行きを与えている。
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