83歳長寿の知恵『養生訓』がなぜ今響く?現代医学も唸る健康バイブル
身体のケア以上に紙幅を割いているのが、養生訓における「心の養生」です。益軒は「心が平穏でなければ、いくら身体を整えても長生きはできない」と力説しました。心と体は表裏一体であるとする「心身一如」の思想です。
とりわけ警戒したのが、激しい怒りと過剰な私欲でした。怒りは肝を損ない、憂いは肺を傷つけるといった伝統的な東洋医学の感情論を交えつつ、「感情の高ぶりは体内の生体エネルギー(気)を激しく消耗させる」と説いたのです。これは自律神経系において、過度のストレスや怒りが交感神経を異常に高揚させ、血管を収縮させて血圧上昇や免疫力低下を招くメカニズムそのものです。
精神を安定させる特効薬として勧めたのは、「足るを知る(分相応の生活に満足する)」知恵でした。果てしない承認欲求や物質欲に追われる現代において、心の波風を静めてユーモアや楽しむ余裕を持つこと。益軒のメンタルケアは、現代の認知行動療法やマインドフルネスの先駆けとも言える深みを持っています。
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