桐箱の箱書で作品価値が激変!プロ直伝の正しい書き方と真贋鑑定
一発勝負の桐箱書きにおいて、後戻りは許されない。紙のように破棄して書き直すことができない木材への揮毫には、職人たちが密かに実践するプロトコルが存在する。
まず行うべきは、桐箱表面の「目止め」とコンディション調整だ。固く絞った布で木肌を均一に拭き、表面の微細な木の粉を取り除く。にじみが懸念される柔らかい桐材の場合、極めて薄い膠水(こうすい)を引いて乾燥させるか、チョークの粉を軽く叩き込むことで導管の過度な毛細管現象を封じる手法が用いられる。
次に、下書きの徹底だ。木肌に直接鉛筆を入れるのは避けたい。トレーシングペーパーに実寸で文字をレイアウトし、木箱の上に当てて全体の座りを吟味する。位置が決まったら、柔らかい筆に水だけをつけて木肌をわずかに湿らせる「水書き」で筆先のストロークを確かめるか、極細の木炭粉を用いてアタリをつける。
使用する筆は、コシの強いイタチ毛や面相筆が適している。羊毛のような柔らかすぎる筆は、木の繊維に引っ張られて線がブレやすい。筆先を立て、迷いのないスピードで一気に運筆する。躊躇して筆を止めれば、その瞬間に墨が横へと広がる。大胆にして細心、それが桐箱に向き合う唯一の姿勢だ。
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