笑顔の歪みや口元の左右差を招く「下唇下制筋」の正体と最新治療
下唇下制筋に起因する口元の非対称に対しては、症状の重症度や発症機序に応じた段階的な医療アプローチが用意されています。
軽度から中等度の過緊張、あるいは顔面神経麻痺後のアンバランスに対して第一選択となるのがボトックス(ボツリヌストキシン)注射です。過剰に働いている側の筋肉に微量の薬剤を注入し、アセチルコリンの分泌を抑制して筋肉の収縮を適度に弛緩させます。麻痺の後遺症治療においては、健常側にボトックスを打ってあえて動きを抑えることで、笑顔を作った際の下唇の左右バランスを驚くほど自然に対称化させる手法が定着しています。効果の持続期間はおよそ3〜6ヶ月程度であり、定期的な微調整が可能です。
さらに、不可逆的な重度の非対称や、ボトックス治療を永続的に繰り返す負担を避けたいケースでは、外科的アプローチである下唇下制筋切除術が検討されます。口の中から粘膜を切開し、過剰に引く下唇下制筋の一部を切除・減量する術式です。外側に傷跡が残らず、一度の手術で恒久的な左右対称性を獲得できるため、形成外科の専門外来において高い満足度を示す症例が多数報告されています。
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