巨大組織の闇と実在モデルの真相『沈まぬ太陽』が叫ぶ正義とは
本作の中核であり、最も哀しく凄惨な章が「御巣鷹山篇」だ。1985年に発生した日本航空123便墜落事故は、520名もの尊い人命が失われるという、航空史上最悪の単独機墜落事故となった。効率性や利益追求の影で、安全管理が疎かにされていた航空業界の構造的欠陥。山崎豊子はこの凄絶な現場と遺族たちの深い苦悩を容赦なく描き切った。
墜落現場での悲惨な救援活動や遺族への遺体確認作業、さらには補償窓口としての過酷な対応業務。恩地は遺族の悲痛な叫びに真正面から向き合い、会社側の冷淡な態度に激怒する。人の命を預かる企業が安全を軽視したとき、どれほど恐ろしい地獄が生まれるのか。事故の教訓は、四十年近くが経過した現在も決して風化させてはならない警鐘として響き渡っている。
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