村上春樹『騎士団長殺し』結末の真相とは?イデアの正体と免色の謎を解く
読者の多くを驚かせたのが、中盤から登場する身長60センチの「騎士団長」です。モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』において主人公に刺殺される騎士団長の姿格好をしており、「あたしはイデアだ」「形を持たないものが、便宜上この姿を借りている」と名乗ります。
プラトン哲学における「イデア」とは、現実世界の背後にある「真の実在・純粋な概念」を指します。作中における騎士団長は、善悪の判断基準や倫理観を持たず、ただ存在としてそこにある純粋な概念そのものです。
では、なぜイデアは絵画に描かれた姿で顕現したのでしょうか。それは「私」の意識の奥底にある未消化の感情や葛藤を具現化し、次の段階へ進むための触媒となるためでした。騎士団長をあえて「自らの手で刺殺する」という通過儀礼を経てのみ、「私」は深層心理の地下迷宮(メタファーの通路)へと降りていく鍵を手に入れることができたのです。
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