井伏鱒二「さよならだけが人生だ」の真意とは?太宰が愛した名訳の謎
この名訳に魂を奪われた代表格が、井伏に師事していた文豪・太宰治でした。太宰は自著『花吹雪』や随筆のなかでこの詩をたびたび引用し、自らの人生観と重ね合わせています。
太宰は、井伏の訳詩について「『さよなら』だけが人生だ。あゝ、まことに、さうだ。人生の出逢ひは別れの始りである」と書き残しました。太宰にとって「さよなら」の響きは、甘美な絶望であると同時に、人と人との交わりの尊さを痛切に照らし出す鏡だったと言えます。
1948(昭和23)年、太宰が命を絶つ直前まで執筆していた未完の遺作小説のタイトルが『グッド・バイ』であったことも示唆的です。師である井伏が紡いだ「サヨナラ」の思想は、太宰文学の最期まで静かに寄り添い続けました。
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