はたらく細胞ヒスタミン放出の真相|肥満細胞暴走の理由と本来の役割
アニメ第5話が放映された直後、SNSや知恵袋などのネットコミュニティでは「肥満細胞がヒステリックすぎる」「白血球さんが何もできずに流されていて絶望した」という声と並び、ツインテールの少女として描かれた好酸球に対する議論が過熱しました。「寄生虫の回では大活躍したのに、花粉症の回では逃げ惑うだけで役に立っていなかったのではないか」というファンの疑問です。
しかし、近年のアレルギー免疫学の研究調査および原作設定を精緻に検証すると、この解釈は全くの誤解であることが分かります。好酸球は寄生虫駆除のための細胞傷害性顆粒(主要塩基性タンパク質:MBPなど)を持つ一方で、実はヒスタミナーゼ(ヒスタミン分解酵素)やアリルスルファターゼ(ロイコトリエン分解酵素)を分泌する能力を備えています。
つまり、肥満細胞が撒き散らしたヒスタミンを化学的に分解し、暴走する炎症反応にブレーキをかける「鎮静化部隊」こそが好酸球の隠された真の姿なのです。劇中で好酸球がヒスタミンの濁流に呑まれながらも懸命に抗っていた姿は、無力だったのではなく、許容量を遥かに超えたヒスタミンの大津波に対して、限られたリソースで必死に分解処理を行おうとしていた現場の過酷さを物語っています。
また、黒マントを羽織り、難解で詩的な言葉を呟くだけで戦わなかった好塩基球についても、「何のためにいるのか分からない」という声が多数上がりました。しかし、好塩基球は末梢血中に0.5〜1%未満しか存在しない極めて希少な細胞でありながら、微細なアレルゲンを感知して肥満細胞とは異なるタイムラグでサイトカインを放出し、アレルギー反応の後期相を誘導・調整する極めて重要なセンサー役を担っています。一見すると奇異な行動をとる細胞たちも、人体の絶妙なバランスを保つための不可欠なピースなのです。