夜驚症に怒りすぎて自己嫌悪の夜へ…親のせいではない医学的根拠
「日中に厳しく叱りすぎたからではないか」「母親の愛情が足りていない証拠だ」――周囲の心ない言葉やネットの無責任な書き込みに、胸を痛めてきた保護者は後を絶ちません。しかし、日本睡眠学会や日本小児神経学会の臨床データが示す事実は明快です。夜驚症は親のせいという噂は、医学的根拠が皆無の迷信に過ぎません。
夜驚症の本質は、小児期特有の睡眠障害であるノンレム睡眠時随伴症(パラソムニア)に分類される生体現象です。人間の睡眠は、深い眠りである「ノンレム睡眠」と、浅い眠りで夢を見る「レム睡眠」を周期的に繰り返しています。夜驚症の発作が起きるのは、入眠後1〜3時間ほどで訪れる最も深いノンレム睡眠(ステージ3・4)から、浅い眠りへ切り替わるタイミングです。
この移行期において、子どもの未熟な中枢神経は「身体を動かす運動野」と「情動を司る扁桃体」だけを急激に覚醒させ、理性を司る「大脳皮質」を深い眠りに残したままにしてしまいます。結果として、本人は完全に熟睡して意識がないにもかかわらず、身体だけが激しい恐怖反応とともに暴走する「覚醒と睡眠の乖離状態」が引き起こされます。これは脳の神経回路が発達途上にあるために生じる一時的なシステムエラーであり、養育環境や親の接し方が引き金になって生じる心因性疾患ではありません。
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