心膜炎の心電図と心筋梗塞の違いとは?広範なSt上昇と鑑別の真相

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救命の現場で医療従事者を最も悩ませるのが、心電図における「ST上昇」の解釈です。心筋梗塞と心膜炎はどちらもST部分が跳ね上がりますが、その電気生理学的発生源は根本から異なります。心膜炎 心筋梗塞 鑑別の理由を突き詰めるには、心臓の解剖学的構造と炎症の広がり方に目を向けなければなりません。

急性心筋梗塞(STEMI)は、特定の冠動脈(左前下行枝、右冠動脈、回旋枝など)が血栓で閉塞することによって発生します。そのため、血流が途絶えた灌流域(前壁、下壁、側壁など)に一致した誘導のみが局所的にST上昇を示し、その反対側の壁を反映する誘導には「鏡面像(ミラーイメージ / Reciprocal change)」と呼ばれるST低下が現れます。波形の形態も、ドーム状に盛り上がる上向き凸(Convex型)になるのが定型です。

対照的に、急性心膜炎は心臓全体を覆う袋状の膜(心膜)とその直下にある心外膜直下心筋に生じる広範な炎症です。冠動脈の走行とは無関係に心臓表面全体で炎症が燃え広がるため、誘導の垣根を越えてI、II、III、aVF、aVL、V2〜V6といった広範な誘導で同時にST上昇が記録されます。これが広範なST上昇のメカニズムの正体です。心膜炎のST上昇は、お椀の底のように中央が窪む上向き凹(Concave型)を呈し、右肩上がりのなだらかな立ち上がりを見せます。さらに、心膜炎ではaVR誘導(および時にV1誘導)を除いてミラーイメージとしてのST低下が出現しない点も、虚血性変化と峻別する強力な根拠となります。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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