二階堂ふみ『人間失格』濡れ場と狂気の真相|山崎富栄役の怪演と結末
本作のクライマックスにして最大の衝撃シーンが、1948年6月13日の雨の夜に起きた玉川上水での入水心中です。
肺結核の喀血によって心身ともにボロボロになり、自らの最高傑作『人間失格』を書き上げた太宰治。もはや現世に留まる気力を失った太宰に対し、富栄は赤い紐で互いの体を結びつけ、「一緒に行きましょう」と微笑みかけます。雨と濁流が渦巻く玉川上水の暗がりの中、2人が冷たい水の中へと身を投じるシーンは、息をのむほどの悲壮感と異様な陶酔感に満ちています。
二階堂ふみが見せる最期の表情は、恐怖や絶望ではなく、愛する男を独占できたという至上の恍惚感すら漂わせていました。「死ぬことによって太宰を永遠に自分のものにする」という富栄の歪んだ純愛の到達点を、二階堂ふみはセリフ以上にその眼差しと身体表現で見事に具現化しています。この結末シーンは、文学史に残る大事件の真相を独自の映像美学で解釈した名場面として、観客の脳裏に深く焼き付いています。
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