「油を売る」の語源はサボりではない?江戸商人の知恵と意外な真相を解剖

「油を売る」の語源はサボりではない?江戸商人の知恵と意外な真相を解剖について知っておくべき 注意点を分かりやすく解説いたします。

結論から言えば、言葉の由来となった江戸時代の油商人たちは決して仕事をサボっていたわけではありません。むしろ、客に対する極めて誠実な職人対応と、当時の高度なリレーション営業を両立させていたプロフェッショナルでした。

江戸の町を天秤棒で荷を担いで歩く「振り売り(棒手振)」のなかでも、油売りは人々の生活に欠かせないインフラ商人でした。当時の家庭で使われていたのは、菜種油や綿実油、胡麻油といった植物性の油です。これらは現代の精製サラダ油と比べて油の粘り気が格段に強く、さらさらとは流れませんでした。

油商人は、客が持参した徳利や小壺などの口が狭い容器に、枡(ます)や漏斗(じょうご)を使って油を移し替えます。しかし、粘度が高い油は細い注ぎ口から少しずつしか落ちず、枡の内壁や底にまとわりついた油が完全に滴り落ちるまでには、短くても数分、気温の低い冬季には5分以上の時間がかかりました。

当時、油は非常に高価な貴重品です。一滴でもこぼしたり、枡の中に残したまま引き上げたりすれば客から「損をさせられた」と不信感を買ってしまいます。油商人は、最後の一滴が落ちきるまで枡を傾けたままじっと待たざるを得ませんでした。この「物理的に手持ち無沙汰になる空白時間」を埋めるために行われたのが、客である長屋の内儀(おかみ)さんたちとの雑談・無駄話だったのです。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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