日本製鉄の株価なぜ乱高下?Usスチール買収と配当の行方を徹底解剖
東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請以降、低PBR銘柄に熱視線が注がれていますが、日本製鉄のPBR1倍割れには根深い構造的理由があります。
市場が日本製鉄に対してPBR0.6倍台というディスカウントを突きつけている最大の理由は、脱炭素化に伴う「巨額の設備投資負担」です。鉄鉱石を高炉で還元する従来の製法から、水素製鉄や大型電炉へと転換するには、今後数兆円規模の研究開発・設備更新費用が避けられません。どれほど足元の純資産が分厚くとも、その資産が将来キャッシュを産み出すための維持コストに飲み込まれるリスクを、機関投資家は見透かしているのです。
ここで陥りがちなのが、行動経済学で言う「アンカリング効果」と「バリュー・トラップ(割安の罠)」です。「PBR1倍割れだから割安」「過去最高益水準だからお得」という数字の断片にアンカー(錨)を下ろしてしまうと、景気の波が反転した際の下落圧力に耐えられなくなります。シクリカル(市況循環)株の鉄則は、「業績絶好調で低PERのときに売り、業績赤字転落で高PERになったときに買う」ことです。現在の好業績・低PBRの数値を盲信して全資産を投入することは、教科書通りの罠に足を踏み入れる行為になりかねません。
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