三保の松原の真実|富士山絶景の時間帯と世界遺産の価値を徹底検証

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2013年6月、カンボジアのプノンペンで開催された第37回世界遺産委員会において、「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」の世界文化遺産登録が決定しました。しかし、その舞台裏には三保松原を巡る劇的な逆転劇が存在したことを知る人は多くありません。

登録審査の前段階において、ユネスコの諮問機関であるICOMOS(国際記念物遺跡会議)は、富士山本体から約45キロメートルも離れていること、そして海岸線に設置された消波ブロック(テトラポット)などの人工構造物が景観を損ねていることを理由に、三保松原を登録対象から除外するよう勧告を出しました。関係者や地元住民に走った衝撃は計り知れないものでした。

この危機を救ったのが、日本政府および静岡市・関係機関による徹底的な学問的立証です。三保松原は単なる自然の松原ではなく、古来より歌川広重の『名所江戸百景』をはじめ、数多くの絵画や和歌、能楽において「富士山を望む不可欠な文化的構図」として定着し、人々の富士山信仰と美意識を醸成してきた動かぬ証拠が提示されました。「遠く離れた場所から崇め、芸術に昇華させた文化的景観」としての普遍的価値が再認識され、世界遺産委員会本会議においてイコモスの勧告が覆される異例の満場一致で構成資産への一括登録が実現したのです。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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