映画『ちはやふる』野村周平の太一役が伝説と呼ばれる理由

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実写映画化が発表された2015年当時、映画『ちはやふる』のキャスト陣の中で最もキャスティングの難易度が高いと囁かれていたのが真島太一役でした。原作における太一は、容姿端麗、学業優秀、スポーツ万能でありながら、幼馴染の綿谷新に対する圧倒的なコンプレックスと、千早への報われない恋情に苛まれる「最も人間臭く脆い秀才」です。千早から呼ばれる「まつげくん」の愛称通り、長く伏せられたまつげと憂いを帯びた瞳がトレードマークでした。

一方、当時の野村周平はスケートボードやBMXを愛好し、バラエティ番組でも飾らないストレートな言動が目立つワイルドなキャラクター。そのため、キャスティング発表直後のネットの反応では「イメージが違いすぎるのではないか」「太一の持つ繊細で高潔な雰囲気を表現できるのか」といった疑問や戸惑いの声が一部で上がっていました。

しかし、劇場公開を迎えると評価は180度覆ります。スクリーンに現れた野村周平は、トレードマークだった短髪から太一特有の柔らかなセンター分けの髪型を完璧にトレース。立ち居振る舞いから発声のトーンに至るまで、育ちの良い名門校生らしい品格を漂わせていました。何より、千早を見つめる切ない眼差しや、かるたの札を前にして運に見放された瞬間の微細な表情の変化など、野村周平の演技力の深さが観客を圧倒したのです。

映画関係者や批評家は「野村周平という俳優の最大の武器は、直感的な身体能力と、役柄の痛みを自分事として引き受ける感受性の高さにある」と分析。原作の小泉徳宏監督も当時のインタビューで「野村くんの持つ人間的な温かさと器の大きさが、太一という業の深いキャラクターを救った」と語っており、配役は見事な大成功を収めました。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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