急に涙もろくなったのはなぜ?脳と自律神経が発する限界サイン
「最近、人情もののテレビ番組や誰かの親切に触れただけで涙腺が崩壊する」と感じる場合、生物学的な加齢変化が関わっていることは確かです。脳の司令塔である前頭葉、とりわけ他者の意図や感情を推し量る「眼窩前頭皮質」や「背外側前頭前野」は、脳の部位の中でも比較的早い段階から萎縮や血流低下が始まります。これが俗に言われる涙もろくなった前頭葉の老化の正体です。
若い頃は、大脳辺縁系から湧き上がる激しい情動に対し、前頭葉が「ここは公の場だから泣いてはならない」と瞬時に抑制指令(ブレーキ)をかけていました。ところが前頭葉の神経細胞の密度が低下すると、この抑制回路の反応速度が鈍くなります。共感性そのものが異常に高まったわけではなく、情動の発生に対して理性のブレーキがワンテンポ遅れるために、涙が先に溢れ出してしまうわけです。
さらに深刻なのが、涙もろくなった自律神経の乱れとの複合作用です。現代のデジタル過多や不規則な睡眠は、交感神経を極限まで緊張させ続けます。張り詰めた糸がぷつりと切れるように交感神経の緊張が破綻すると、反動として迷走神経(副交感神経系)が急激に優位へ跳ね上がります。この自律神経の乱高下が発生した瞬間、涙腺への血流が急増し、本人の意思とは無関係に涙が分泌されます。感情の揺れというよりは、自律神経のシーソーが故障した物理現象として捉える必要があります。
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