『ペリリュー』が突きつける戦争のリアルと可愛い絵の驚愕ギャップ
一見すると、絵本や日常系マンガのような柔らかい絵柄。主人公の田丸をはじめとする日本兵たちは、丸みを帯びた二頭身半のフォルムで愛らしく描かれている。だが、ひとたび米軍との戦闘が始まれば、その緩やかな線描のまま、兵士たちの肉体が容赦なく破壊されていく。
あえて可愛らしいビジュアルを採用した理由について、著者の武田一義は「凄惨な戦場の事実を、現代の読者が直視できるようにするため」と語る。生々しい劇画では耐えきれない拷問のような戦場の記憶も、この抽象化されたキャラクターを通すことで、心理的拒絶を起こさずにすんなりと身体へ染み込んでくるのだ。しかし、そこで描かれる出来事は紛れもない現実である。熱病、水不足、友軍の死、そして自決命令。可愛さの裏側に潜む残酷な対比こそが、読者に深いトラウマと内省を迫る本作最大の仕掛けと言える。
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