名画『最後の晩餐』の意味とは?ダ・ヴィンチの暗号と裏切りの真相
『最後の晩餐』が持つ最大の意味を紐解く鍵は、ダ・ヴィンチが「どの瞬間を描くキャンバスに選んだのか」という点に集約されます。キリスト教美術における最後の晩餐といえば、伝統的にはキリストがパンとワインを自らの肉と血に見立てて弟子たちに分け与える「聖体拝領(エウカリスティア)」の儀礼的な場面を描くのが定石でした。
ところがダ・ヴィンチは、その静謐な儀式ではなく、新約聖書『ヨハネによる福音書』第13章21節に記された緊迫のシーンを切り取りました。「はっきり言っておく。あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている」というキリストの予言が食堂に響き渡った、まさにその直後の1秒間です。
この予言によって、食堂の空気は一瞬にして凍りつき、弟子たちには激震が走りました。「まさか自分ではないか」と悲嘆に暮れる者、怒りに震えて立ち上がる者、驚きで両手を広げる者。ダ・ヴィンチは、神聖な聖人たちを雲の上の存在としてではなく、動揺し、疑心暗鬼に陥る生身の人間としてカンバスに焼き付けたのです。
さらに画面の中央に鎮座するキリストの右手と左手には、神学的な意味が二重に込められています。キリストの左手は手のひらを上に向け、自らの受難を受け入れる祈りを示しながらパンとワインの意味(信仰の本質)を暗示しています。一方で、やや前方に伸ばされた右手は、テーブルの上の皿へと伸びています。マタイによる福音書にある「わたしと一緒に手で鉢に食べ物を浸した者が、わたしを裏切る」という言葉通り、右奥から同じ鉢に手を伸ばそうとしているイスカリオテのユダの存在を、構図そのもので指し示しているのです。
タグ:
https://edugrew.academy/jizeykfz/5647109/