パスポートの色の違いの真相とは?赤・青から幻の緑・茶色まで徹底解剖
空港の保安検査場や搭乗ゲートで「緑色のパスポート」や「濃い茶色のパスポート」を開く人物を見かけた際、その特異なオーラに疑問を抱く人は少なくありません。これらの旅券を保持している人物の正体と、外務省 旅券の発行基準は一般のそれとは根本から隔絶されています。
まず、パスポート緑色を持つ人の正体は、主に国家の公務として海外に派遣される公務員や専門機関のスタッフです。具体的には以下のような層に限定されます。
- 国会決議や公的派遣に基づく国会議員
- 中央省庁の国家公務員(防衛省、経済産業省、財務省などの公務渡航)
- 国際協力機構(JICA)の専門家や青年海外協力隊員
- 国際会議に出席する日本学術会議関係者や政府指定の文化特使
公用旅券(Official Passport)は、あくまで「国家の用務を執行するため」にのみ交付されるものであり、私的な観光やショッピングに利用することは法律で固く禁じられています。帰国後は速やかに外務省または所属組織へ返還する義務が課されている点が、個人に帰属する一般旅券との決定的な相違点です。
さらに上位に位置するのが、濃茶色の表紙を纏う「外交旅券(Diplomatic Passport)」です。この保持者は、在外公館に駐在する特命全権大使や公使、領事などの外交官をはじめ、内閣総理大臣、各省庁の大臣、そして皇室の方々に限られます。外交旅券の真価は、表紙の色そのものよりも、背後にある国際法上の絶大な保障にあります。1961年に採択された「外交関係に関するウィーン条約」に基づき、外交旅券所持者は派遣先国における刑事裁判権の免除、いわゆる不逮捕特権や捜索・差押えの免除を享受します。空港では一般客とは完全に分離された「Diplomatic Lane(外交官専用レーン)」を通過し、手荷物検査の免除措置を受けるケースが一般的です。
なお、日本の象徴である天皇陛下および皇后陛下は、世界的な慣例に基づきパスポートそのものを所持されません。国家元首たる人物が自らに対して渡航許可証を発行することは法理上矛盾するためであり、これはイギリス国王チャールズ3世など世界の主要君主にも共通する最高位のプロトコルです。
そして5色目の「薄茶色(緊急旅券)」は、海外でパスポートの盗難・紛失に遭った邦人のうち、直ちに日本へ帰国するのではなく、どうしても緊急に別の第三国へ移動しなければならない人道的理由(親族の危篤、重大な国際商談など)が認められた場合にのみ、現地の在外日本大使館・領事館で即日発行される極めて例外的な旅券です。