リトラクタブルヘッドライトはなぜ消えた?廃止理由と名車の実態
リトラクタブルヘッドライトに関しては、愛好家の間でもいくつかの都市伝説や誤解が定着しています。事実関係を客観的に整理します。
誤解1:「道路運送車両法でリトラクタブルライトが禁止された」
インターネット上で頻繁に見られる「法律でリトラクタブルヘッドライトが禁止されたため廃止された」という説は明確な誤りです。日本の道路運送車両の保安基準や欧州のECE規則において、「ライトを格納式にしてはならない」という文言は存在しません。
実態は、「現行の歩行者頭部保護基準(ボンネットとエンジンの間に衝撃吸収空間を確保し、突起物を排除する規定)」や「灯火器の点灯応答性・光軸要件」をクリアしながらリトラクタブル機構を作るとなると、開発コストと車重増加が天文学的になり、商業的・工学的に成立しなくなったというのが正確な事実です。
誤解2:リトラ車の「パッシング」は機構に負担をかける?
昼間にパッシングを行う際、固定式ライト車であれば電気信号を一瞬流すだけで済みますが、リトラクタブルライト車は「モーターを駆動してライトを上げ、点灯させ、消灯して下げる」という物理動作が発生します。多くの車種では応答遅れを解消するために、パッシング操作時に自動でライトがポップアップする回路が組まれていましたが、以下の実情がありました。
- タイムラグ:ライトが上がりきるまでにコンマ数秒の遅れが生じ、瞬時の合図に向かない。
- モーター摩耗:頻繁なパッシングはリフト用リンケージやナイロン樹脂製ギアの摩耗を早める要因となる。
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