孤独のグルメ聖地・シャンウェイの移転先と名物メニューを完全解剖
2014年夏に放送された『孤独のグルメ Season4』第9話「渋谷区神宮前の毛沢東スペアリブと黒チャーハン」は、シリーズ屈指の神回としてファンの記憶に刻まれています。中華料理といえば丸底の中華鍋とお玉を激しく振る姿が一般的ですが、オーナーシェフである佐々木孝氏が確立したスタイルは、極厚の鉄板を駆使して焼き・蒸し・炒めを一手にこなす唯一無二の鉄板中華でした。
作中で井之頭五郎(松重豊)が平らげた井之頭五郎 注文メニューは、視覚・嗅覚・味覚のすべてを強烈に刺激する構成となっていました。五郎の舌を巻かせた代表作を振り返ります。
最初に登場したのが「柔らか蒸し鶏のネギ醤油」です。一般的な蒸し鶏のパサつきとは完全に無縁で、大山鶏を丸ごと蒸し器で骨がゼラチン状に崩れるまでじっくり何時間も熱を通したもの。骨まで丸ごと噛み砕いて食べられる異次元の柔らかさと、香ばしいネギ醤油ダレのパンチが五郎を「骨まで愛して、骨まで美味しい」と唸らせました。
そして主役として君臨したのが、通称「毛沢東スペアリブ」(湖南風フライドスペアリブ)。大ぶりな豚スペアリブをカリッと揚げ、その上に唐辛子、フライドガーリック、フライドオニオン、干しエビ、クミンなどをブレンドした特製スパイスチップが皿を覆い尽くすほどの山盛りで供されます。手づかみで豪快にかぶりつき、全身から汗を噴き出させながらスパイスの旨味に溺れる五郎の姿は、深夜の視聴者に強烈な飯テロをもたらしました。
締めくくりに供されたのが、漆黒の輝きを放つ「黒チャーハン」です。中国の熟成たまり醤油「老抽(ラオチュウ)」を用い、強火の鉄板で米粒一粒一粒をパラパラかつしっとりと焼き上げた逸品。見た目の重厚さとは裏腹に、醤油の香気とコクが引き立ち、満腹寸前でもレンゲが止まらなくなる魔力を持っています。