伊東の川沿いに息づく昭和の幻影——木造3階建ての迷宮が今、感性鋭い旅人を惹きつけてやまない理由
建築美を堪能した後に外せないのが、館内にある温泉浴場でのひとときだ。東海館は現在、文化施設として一般公開されているが、週末(土日・祝日)に限って男女別の大浴場が入浴可能となる。この限定感が温泉ファンの心をくすぐってやまない。
浴室の扉を開けると、湯気の中に浮かび上がるのは彫刻家が手がけたユーモラスなタツノオトシゴの湯口や、伊豆石を贅沢に敷き詰めた湯船。肌触りの柔らかい単純温泉が惜しみなく注がれており、浴槽に身を沈めると、高い天井に湯音が反響して心地よい余韻を残す。昭和初期のハイカラな空気を肌で吸い込むような、贅沢極まりない湯浴み体験がここにある。
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