耳の下の腫れと痛くないしこりの正体|危険な病気と受診の目安
耳の直下から下顎角(エラ)周辺が腫れる場合、体内では何が起きているのでしょうか。この部位の腫大は、解剖学的に「耳下腺の病変」「頸部リンパ節の腫脹」「皮膚・軟部組織のトラブル」という3つの発生源に分類されます。外見上は同じような膨らみに見えても、組織ごとの発症機序はまったく異なります。
第一の震源地となるのが、唾液を分泌する最大の唾液腺である耳下腺です。ウイルスや細菌の侵入によって急性・慢性の炎症を起こす場合と、腺組織そのものから新たな細胞塊が生じる腫瘍性病変に分かれます。前者は食事の際などにズキズキとした痛みを伴うことが多い一方、後者は初期段階では自覚症状がほぼなく、無痛性のしこりとして静かに成長を続けます。
第二に疑われるのが頸部リンパ節腫脹です。耳の周囲や首には外敵の侵入を食い止めるフィルターであるリンパ節が無数に存在します。風邪や虫歯、咽頭炎などの炎症反応に伴って一時的に腫れ上がる「反応性リンパ節炎」であれば、免疫応答とともに数日から数週間で消退するのが一般的です。しかし、悪性リンパ腫や他臓器からの転移性リンパ節がんである場合、痛みを感じないまま硬いしこりが徐々に勢力を拡大していきます。
第三の要因は、皮膚やその直下の皮下脂肪にできる良性腫瘍です。代表的なものが「粉瘤(アテローム)」であり、毛穴の奥にできた袋状の構造物に角質や皮脂が溜まることで膨らみます。通常時は痛みを伴わない柔軟なしこりですが、細菌感染を起こすと急激に赤く腫れ上がり、激痛を伴う「炎症性粉瘤」へと変貌を遂げます。
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