都営南青山一丁目アパートの真実!家賃・驚異の倍率と存在理由を解剖
表参道や外苑前にもほど近い南青山一丁目は、言わずと知れた超高級住宅街・商業エリアです。このセレブ街の真ん中に格安の都営住宅がなぜあるのかという疑問を紐解く鍵は、昭和の歴史と東京都が推進した先駆的な都市再生プロジェクトにあります。
もともとこの地には、昭和30年代(1960年代初頭)に建設された旧「都営南青山一丁目団地」が広がっていました。高度経済成長期、都心部で働く勤労者の住宅確保を目的に建てられた中低層の団地群でしたが、築40年を超えて建物の老朽化と耐震性の問題が深刻化。しかし、敷地は港区の超一等地であり、単に古い建物を同じ規模の公営住宅として建て直すだけでは、都市空間の有効活用という観点から大きな課題が残されていました。
そこで東京都が2000年代初頭に打ち出したのが、日本初の大規模なPFI(Private Finance Initiative:民間資金等活用事業)手法を導入した「南青山一丁目団地再生事業」です。都有地という極めて価値の高い資産を民間事業者に定期借地権で貸し出し、民間事業者の資金とノウハウを活用して官民複合の超高層タワー(地上46階・地下2階)を一体開発しました。
この画期的なスキームにより、高層フロアおよび敷地の一部には三井不動産などが運営するハイグレード民間賃貸マンション「パークアクシス青山一丁目タワー」を誘致し、低中層フロアに都営住宅の代替住戸(都営南青山一丁目アパート)を再配置。さらに港区の認可保育所(青南幼稚園青山分園)や図書館、福祉施設、商業店舗などを併設する立体的な複合都市空間へと生まれ変わりました。東京都は巨額の公費負担を大幅に抑制しながら良質な都営住宅を確保し、民間事業者は一等地の賃貸ビジネスを展開できるという、双方の利害が一致した結果として現在の姿が誕生したのです。