内田有紀が狂気に堕ちる?閉鎖病棟の真実描く伝説の傑作コメディ
松尾スズキによる原作小説を読んだ読者なら、映画版とのトーンの違いにすぐ気づくだろう。文芸作品としての小説は、内省的で、明日香の脳内モノローグがどこまでも執拗に続く。活字だからこそ表現できる、精神が削れていく過程の残酷な生々しさがある。
一方の映画版は、ビジュアルとテンポによって観客を現実から軽やかに浮遊させる。閉鎖病棟の過酷な現実はそのままに、色彩感覚や音楽のビートによって、鑑賞後に奇妙な爽快感が残る仕立てになっているのだ。原作の持つ冷徹な批評性を損なうことなく、エンターテインメントとしてのカタルシスを両立させた手腕は見事というほかない。
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