腸蠕動音が鳴り止まない・消える謎|お腹のSosと病気の見分け方
臨床看護の現場において、腹部のアセスメントには厳格な手順が存在します。一般に身体診察は「視診・触診・打診・聴診」の順に行われますが、腹部診察に限っては「視診 ➜ 聴診 ➜ 打診 ➜ 触診」の順番が鉄則です。触診や打診による物理的刺激が腸管を刺激し、本来の腸蠕動音を人為的に変化させてしまうのを防ぐためです。
聴診を行う際は、臍(へそ)を中心にして腹部を4つのエリアに分ける「腹部四象限(右下腹部・右上腹部・左上腹部・左下腹部)」を用います。
- 右下腹部(RLQ / 回盲部):小腸から大腸へと内容物が流れ込む「回盲弁(バウヒン弁)」が存在するため、最も腸蠕動音が活発かつ安定して聴取できるエリアです。聴診のスタート地点として推奨されます。
- 右上腹部(RUQ):上行結腸から肝彎曲部、十二指腸周辺の音を拾います。
- 左上腹部(LUQ):胃から脾彎曲部、下行結腸へ移行する部位の流動音を確認します。
- 左下腹部(LLQ):S状結腸から直腸へ便が送られる領域であり、便秘時の滞留や通過障害の評価に直結します。
臨床現場の基準では、1箇所の聴取部位につき最低でも1分間、全体で数分間の聴診を行うことで「真の減弱・消失」であるかを判断します。聴診器のダイアフラム面を軽く腹壁に密着させ、患者がリラックスして腹壁の緊張を解いている状態(膝を軽く立てた仰臥位)で測定することが正確なデータ取得の要となります。
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