遺産1億円の相続税はいくら?早見表と手取り最大化の2026年最新対策
「なぜ同じ1億円の財産でここまで税額が変わるのか」を理解するには、税務署が実際に行う1億円相続税計算のプロセスを順を追って分解する必要があります。日本の相続税法は、遺産総額にいきなり税率を掛けるのではなく、「基礎控除」を差し引いた後の課税遺産を、各人の「法定相続分」に一度配分して計算する複雑な二段構えの構造を採用しています。
ステップ1:相続税基礎控除の計算方法
相続税が発生するかどうかの境界線となる基礎控除額は、法律によって明確に定められています。
【基礎控除額の計算式】 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例えば、相続人が「配偶者と子ども2人」の計3人であれば、3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円が非課税枠となります。遺産総額1億円からこの4,800万円を差し引いた5,200万円が、課税対象となる正味の「課税遺産総額」です。
ステップ2:法定相続分で分割し、超過累進税率を適用
次に、この課税遺産総額を法律で定められた割合(配偶者1/2、子ども各1/4)で仮に分けたものとして、各人の取得金額を算出します。
- 配偶者の取得分:5,200万円 × 1/2 = 2,600万円
- 子どもAの取得分:5,200万円 × 1/4 = 1,300万円
- 子どもBの取得分:5,200万円 × 1/4 = 1,300万円
ここで適用される遺産1億円の相続税率は、取得金額に応じて10%〜55%まで段階的に上がる超過累進税率です。2,600万円に対する税率は15%(控除額50万円)となるため、2,600万円 × 15% - 50万円 = 340万円。1,300万円に対する税率は15%(控除額50万円)で、1,300万円 × 15% - 50万円 = 145万円となります。これらを合算した630万円が、一族全体で納めるべき「相続税の総額」として確定します。
ステップ3:実際の按分と手取り額のシミュレーション
算出された相続税の総額を、実際の遺産分割割合に応じて分け合います。ここで強力に作用するのが、後述する1億円相続税配偶者控除です。配偶者は1億6,000万円(または法定相続分)まで税金が実質ゼロになるため、配偶者分の税額315万円は全額免除されます。結果として、子ども2人が残りの315万円(1人あたり約157.5万円)を現金で納税することになります。
この結果、1億円相続手取り額は一族全体で約9,685万円となります。しかし、もし遺産の大部分が「不動産」で現金がほとんど残っていなかった場合、相続人はわずか300万円強の納税資金を工面するために自己資金を取り崩すか、不動産の売却を迫られるという資金ショートの危機に直面します。