迷宮の十字路が最高傑作と評される理由と平次の初恋の真相
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物語の根底を流れる最大のロマンスが、服部平次の「初恋の相手」を探す旅です。平次は小学校3年生の春、京都の山能寺の格子窓から外を覗き見た際、桜吹雪のなかで着物姿の少女が手毬をつきながら歌う姿に心を奪われました。その少女が落とした水晶の玉を肌身離さず持ち歩き、長年にわたり正体を追い求めていたのです。
作中でその謎を解く鍵となったのが、京都の東西の通り名を覚えるための手毬歌「丸竹夷(まるたけえびす)」でした。京都の子供たちが口ずさむ一般的な手毬歌の歌詞は、以下のように通りが北から南へと並んでいます。
「丸 竹 夷 二 押 御池(まる たけ えびす に おし おいけ)/姉 三 六角 蛸 錦(あね さん ろっかく たこ にしき)/四 条 綾 仏 高 松(しじょう あや ぶっ たか まつ)/万 五条 魚の棚(まん ごじょう うおのたな)…」
しかし、幼き日の平次が耳にした歌声は「姉 三 六角 蛸 錦」の部分が「嫁 三 六角 蛸 錦(よめ さん ろっかく たこ にしき)」と唄われていました。終盤、誘拐された遠山和葉を救出し、事件を解決へ導く過程で、平次は和葉がまったく同じ節回しと歌詞で手毬歌を口ずさむ場面に遭遇します。
親戚の結婚式のために着物を着て化粧を施し、親の迎えを待つ間に山能寺で手毬をついていた少女こそ、まさに幼少期の遠山和葉その人でした。平次は自身が探し続けていた運命の女性が、ずっと隣にいた幼馴染であったことを悟ります。あえて和葉本人にはその事実を明かさず、心の中で微笑む平次の横顔は、シリーズ屈指の名シーンとして語り継がれています。
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