公務員から公務員への転職は有利か?給与・退職金の真実と失敗防ぐ全対策
「同じ公務員なのだから、経験者は無条件で有利に扱われるはずだ」という言説は、半分正しく、半分は誤解を孕んでいます。人事委員会や採用担当者の本音を取材すると、公務員経験者に対して「行政実務や独特の文書決裁ルール、議会対応の作法を理解している」という安心感を抱くのは紛れもない事実です。新規採用職員を一から育成するコストを抑えたい自治体にとって、即戦力として計算できる人材は極めて魅力的に映ります。
しかしその一方で、採用側の警戒心も通常の民間出身者以上に跳ね上がります。「人間関係に耐えられなかったのではないか」「首長や組織の方針に不満を抱いて逃げ出したのではないか」「採用してもまたすぐに別の役所へ移るのではないか」という懸念が常に付きまとうためです。公務員から公務員への転職において、経験そのものは強力な武器になりますが、それは「論理的で納得度の高い転職理由」とセットになって初めて効果を発揮します。
現場職員が別の公務員組織を目指す背景には、個人のわがままにとどまらない構造的な要因が存在します。厚生労働省や人事院の公表データ、官民連携のキャリア支援窓口に寄せられる相談内容を分析すると、代表的な転職理由は以下の3つの潮流に集約されます。
第1に、国家公務員から地方公務員への転職です。中央省庁(霞が関)の深夜に及ぶ国会待機や政策立案業務、全国転勤のプレッシャーから脱却し、「地域住民の顔が見える距離で腰を据えて働きたい」「ワークライフバランスを改善し、家族との時間を確保したい」と願う若手・中堅キャリアの地方移籍が目立ちます。
第2に、地方公務員から国家公務員への転職、あるいは規模の小さな町村から政令指定都市・都道府県庁へのステップアップです。小規模自治体特有の濃密すぎる人間関係や旧態依然とした首長・議員対応に閉塞感を覚え、「より広域的でスケールの大きな法制執務や国家プロジェクトに携わりたい」と志向するケースです。
第3に、結婚、出産、親の介護といったライフステージの変化に伴う自治体間転職です。公務員には民間のような都合の良い全国転勤制度や社内公募が自治体を超えて存在しないため、生活拠点を移すためには「退職して再受験する」しか道がないという制度的制約が、移籍者を生み出す大きな原動力となっています。