お賽銭はいくらが良い?10円Ngの真相と縁起の良い金額・参拝マナー
賽銭の金額をめぐる議論において、近年無視できない決定的な要素となっているのが、民間銀行およびゆうちょ銀行による「大量硬貨取扱手数料の有料化」です。2022年の手数料改定以降、窓口やATMでの硬貨入金に一定枚数以上の手数料が発生する構造が定着し、小銭を主たる収入源とする全国の神社仏閣の財務を直撃しています。
取材に応じた地方神社の宮司は、切実な現場の内情を次のように吐露しています。
「正月三が日で数万枚の小銭が集まりますが、500枚や1,000枚単位で入金するたびに高額な手数料が差し引かれます。極端な例として、参拝者の方が善意で1円玉を1,000枚納めてくださった場合、金融機関の手数料が入金額を上回り、実質的な赤字、いわゆる『逆ざや』が生じてしまうのが現状です。神事の継続や建物の修繕費を捻出する立場としては、非常に苦しい判断を迫られています」
SNSやネット掲示板上でも、「小銭を処分する感覚でお賽銭箱にジャラジャラ入れるのは寺社に対する営業妨害ではないか」「キャッシュレス決済をもっと普及させるべきだ」という現実論と、「お賽銭は神仏への純粋な祈りであり、手数料などの現世の都合を持ち込むべきではない」という伝統論が激しく衝突しています。
こうした状況を受け、一部の著名寺社ではQRコード決済や非接触IC決済を用いた「キャッシュレス賽銭」の導入が進められました。しかし、文化庁の宗教統計調査や現場の反応を見る限り、全国的な普及には至っていません。「現金を投げ入れる所作そのものが身体的な禊(みそぎ)である」という信者の根強い抵抗感や、手数料負担の所在、決済端末の維持費といった課題が横たわっているためです。参拝者側としても、「1円玉の大量投入は避け、100円玉や500円玉、あるいは紙幣を納める」という現実的な配慮が、寺社を守るための大人のマナーとして定着しつつあります。