宇宙戦艦ヤマトの曲が放つ不滅の魂|主題歌誕生秘話と名曲の真価
1970年代初頭、テレビアニメの音楽は「分かりやすく、明るく、子どもの耳に残りやすいこと」が業界の暗黙の了解でした。その定石を根底から覆したのが、名匠・宮川泰が手がけた『宇宙戦艦ヤマト』の劇伴と主題歌です。当時すでに『シャボン玉ホリデー』などで日本ポップス界の頂点に君臨していた宮川氏に対し、プロデューサーの西崎義展氏が「劇伴すべてを一人の作曲家にフルオーケストラで書いてほしい」と異例のオファーを出したことから、歴史の歯車が動き出しました。
この宇宙戦艦ヤマトの主題歌誕生秘話において、最もドラマチックだったのがレコーディング当日のスタジオです。作曲を担当した宮川氏は自著や生前の回顧録の中で、「ただ勇ましいだけの軍歌調には絶対にしたくなかった。祖国を離れ、二度と生きて帰れないかもしれない旅路に向かう若者たちの哀愁とロマンを、シンフォニックな短調のコード進行に託した」と明かしています。哀愁を帯びたマイナー調から、サビの「ヤマト」で一気にメジャー(長調)へと突き抜けるカタルシスは、宮川氏の緻密な音楽理論と情熱の結晶でした。
そして、その唯一無二のメロディに魂を吹き込んだのが、宇宙戦艦ヤマトの主題歌歌手であるささきいさお氏です。当時、ロカビリー歌手から声優・俳優へと活動の幅を広げていたささき氏は、重厚なバリトンボイスの持ち主でした。スタジオで初見の譜面を渡されたささき氏は、当初キーの高さに戸惑ったと後のインタビューで語っています。しかし、ブースに入ったささき氏の第一声「さらば〜地球よ〜」を聴いた瞬間、立ち会っていたスタッフ全員に鳥肌が立ったという逸話が残されています。ささきいさおのヤマトという圧倒的な歌唱表現が誕生した瞬間でした。
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