ずんずん運動事件の真相|なぜ乳児は命を落とし母は信じたのか
事件が報道された際、SNSやネット掲示板では「なぜあんな乱暴な施術を止めなかったのか」「母親は何をしていたのか」といった被害者遺族への非難も散見されました。しかし、法廷で明かされた母親たちの証言や心理的背景を紐解くと、そこには現代社会が抱える根深い病理が浮かび上がってきます。
多くの母親が姫川のもとを訪れたきっかけは、「夜泣きがおさまらない」「抱っこしにくい」「向き癖がひどい」「他の子より発達が遅れている気がする」といった、育児中の親なら誰もが直面する切実な悩みでした。医療機関を受診しても「個性ですから様子を見ましょう」と言われ、具体的な解決策を得られないまま、核家族の中で一人赤ちゃんと向き合う「密室育児」の孤独に追い詰められていたのです。
姫川の手口は、そうした親たちの不安と自責の念を巧みに操るマインドコントロールそのものでした。
「このままでは発達障害になる」「歩けなくなるかもしれない」「でも、今なら私の手で治せる」。姫川はまず母親の恐怖心を激しく煽り立てます。その上で「お母さんの抱き方が悪かったから首が歪んだのよ」と罪悪感を植え付け、救済者として振る舞いました。
さらに狡猾だったのは、「NPO法人 子育て支援協会」という公的な響きを持つ看板を隠れ蓑にしていた点です。多くの保護者は「NPO法人として大阪府から認証されているのだから、怪しい団体のはずがない」と盲信してしまいました。
赤ちゃんが激しく泣き叫んでも、「これは体に溜まった悪い毒が出ている証拠。ここでやめたら一生後悔するわよ」と恫喝まがいに諭されれば、我が子を良くしたい一心で精神的にすがりついていた母親は、静止の声を上げることすら封じ込められてしまったのです。
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