東野圭吾『殺人の門』結末ネタバレ考察!なぜ人は一線を越えるのか
本作の物語は、主人公・田島和幸が「殺人の門」という概念を回顧する独白から幕を開けます。門の前には重い閂(かんぬき)がかけられており、人はどれほど激しい怨恨を抱いても、その閂が外れない限り境界線を越えることはできません。
和幸の父は歯科医を開業しており、少年期は裕福な暮らしを送っていました。ところが、ある日家に届いた「和幸の母が不倫している」という密告状をきっかけに両親が離婚。歯科医院は没落し、祖母の死、父の再婚と横領事件を経て一家は散り散りになります。この家庭崩壊の引き金こそが、当時小学生だった倉持修の策略でした。
中学生になった和幸は、修に唆されて競馬のノミ行為や悪質な商売に巻き込まれます。高校進学後も、修は親友の顔をして和幸の前に現れては、マルチ商法、ダイヤのペーパー商法、先物取引といった詐欺の片棒を担がせ、和幸のわずかな貯金や人間関係を徹底的に奪い取っていきます。
大人になり、和幸がようやく手に入れたささやかな幸福すらも、修は見逃しません。和幸の婚約者・雪子を寝取り、結婚生活を破綻させ、和幸が再起をかけて就職した職場でさえも裏から手を回して追い詰めます。「すべては倉持修の仕業ではないか」と疑い、殺意を募らせながらも、決定的な証拠をつかめず、再び修の口車に乗せられてしまう和幸の姿は、読者に強烈なもどかしさと恐怖を植え付けます。
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