健康診断は医療費控除できる?原則対象外を覆す例外条件と確定申告の全貌
確定申告シーズンになると、インターネット上の質問掲示板などで「健康診断を受けたからセルフメディケーション税制で控除を受けられる」という誤った解釈が多発します。この両者の制度趣旨を取り違えると、申告書の修正を余儀なくされるため細心の注意を払わなければなりません。
セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)において、健康診断は「税制の適用を受けるためのパスポート(受診証明)」にすぎず、「健康診断の受診費用そのものを控除できる仕組み」ではありません。
セルフメディケーション税制は、普段から健康管理を行っている納税者が、対象となるスイッチOTC医薬品(かぜ薬、胃腸薬、湿布薬など)を年間12,000円を超えて購入した際に利用できる制度です。この申請資格を得るために、「職場の定期健診」「自治体のがん検診」「人間ドック」などを受けた証明(健診結果通知書や領収書)を提出・入力する必要があります。ここを混同し、ドラッグストアで購入した薬代ではなく健康診断の受診料そのものを枠に放り込んでしまうミスが後を絶ちません。
さらに重要なのは、「従来の医療費控除」と「セルフメディケーション税制」は完全な選択適用(どちらか一方しか使えない)という点です。人間ドックで病気が見つかり、多額の治療費が発生した場合は、従来の医療費控除を選んだ方が還付規模は圧倒的に大きくなります。年間の医療費総額と対象医薬品の購入額を天秤にかけ、どちらが有利かを事前に試算する視点が欠かせません。
また、「医療費控除を申請するには医師の診断書を添付しなければならない」という噂も根強い誤解の一つです。国税庁の規定上、確定申告書に医師の診断書を添付して提出する義務はありません。ただし、税務署から後日「人間ドックの費用が計上されているが、治療に至った事実関係を確認したい」とお尋ね(問い合わせ)が来た場合に備え、初診日や治療計画が明記された診療明細書、処方せんの控え、お薬手帳の履歴などは手元に厳重保管しておくのが鉄則です。