残存機能とは?親の自立を奪う過剰介護の罠とプロが教える活用法

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介護保険や医療現場で日常的に交わされる「残存機能」という言葉ですが、一般には「残存能力」と混同されがちです。専門的な知見からその境界線を明確に整理しておく必要があります。

国際保健機関(WHO)が採択したICF(国際生活機能分類)の定義に基づくと、概念のレイヤーには明確な差異が存在します。残存機能とは、病気やケガ、加齢によって一部の組織や器官が障害を受けた後も、機能低下を免れて保たれている身体構造や精神の働きそのものを指します。たとえば「右腕の握力」「膝の曲げ伸ばし」「昔の記憶を思い出す力」「耳で言葉を聞き取る力」といった、身体の各パーツや脳の局所的な働きがこれに該当します。

これに対し、残存能力とは、残された個々の機能を複合的に組み合わせ、実際の生活行為(ADL:日常生活動作)として発揮できる力を意味します。右手の握力(残存機能)と視力(残存機能)を組み合わせて「箸を持って白米を口に運ぶ」という一連の行為を成立させることが「残存能力」です。

従来の福祉は「麻痺して動かない手」や「物忘れの酷さ」といった失われた機能(欠損)ばかりに目を奪われがちでした。しかし現代の自立支援介護では、たとえ左半身が完全に麻痺していても「正常に動く右手がある」「飲み込む力が残っている」という本人のプラスの側面にフォーカスします。欠けた部分を悔やむのではなく、残された資源をいかに日常生活へ再配分するかという発想の転換こそが、すべてのリハビリテーションの出発点です。

加藤 愛美

加藤 愛美

エンタメ専門ジャーナリスト

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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