地震で電柱が倒壊する二次災害の真実|無電柱化が進まぬ背景と命の防災

地震で電柱が倒壊する二次災害の真実|無電柱化が進まぬ背景と命の防災にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

諸外国の主要都市に目を向けると、ロンドンやパリは100%、シンガポールでも100%、台北でも約95%の無電柱化が達成されています。これに対し、日本の無電柱化率は東京23区でさえ約8%(幹線道路中心でも約50%)、全国平均ではわずか1〜2%台にとどまります。防災対策として電柱地中化の必要性が叫ばれながら、なぜこれほどまでに無電柱化進まない理由が山積しているのでしょうか。

最大の障壁は、天文学的な電柱地中化コストです。道路の下に電線や通信線を収める管路を埋設する従来の手法(電線共同溝方式)では、道路1kmあたり約3.5億〜5.3億円という莫大な整備費用がかかります。通常の架空電柱を新設する場合の費用(1kmあたり数千万円)と比較して約10倍から20倍もの開きがあり、財政難に苦しむ地方自治体や、維持管理費を抑えたい民間事業者が躊躇する直接的な要因となっています。

さらに物理的・社会的なハードルも立ちはだかります。日本の住宅街に多い幅員4メートル未満の狭小道路では、電柱上にある変圧器の代わりとなる「地上機器(トランス)」を歩道上に設置するスペースがありません。自宅の玄関前や店舗の前に大型の金属製ボックスが置かれることに対し、景観や防犯、圧迫感を理由に住民の合意形成が難航するケースが後を絶ちません。

加えて、開発業者や住宅メーカーによる宅地開発の現場では、初期コストを抑えるために現在でも年間約7万本前後の電柱が新たに打ち立てられています。国土交通省無電柱化推進計画によって緊急輸送道路での電柱新設禁止や低コスト手法(浅層埋設や小型ボックスの採用)が推進されているものの、既存の膨大なストックを減らすスピードを新設のペースが上回るという皮肉な構造が続いています。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

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