Elt『Shapes of Love』解体新書|90年代の金字塔が放つ真価
ELTを語る上で避けて通れないのが、持田香織の歌唱力と表現スタイルの進化です。
1990年代後半のデビュー初期、持田は圧倒的な声圧と突き抜けるハイトーンボイスでシーンを席巻しました。しかし、過密なツアーとレコーディングの連続により、2000年代中盤に声帯を酷使したことによる喉の不調を経験します。この転換期を経て、持田は発声法を根本から見直し、力任せに高音を張り上げるスタイルから、ファルセット、ウィスパーボイス、豊かな中低音の響きを活かした「大人の表現力」へと見事なシフトを遂げました。
2026年現在の視点で近年のアコースティックライブや周年公演のパフォーマンスを検証すると、『Shapes Of Love』もキーの調整やアコースティックアレンジを施すことで、初期の鋭利な疾走感とはまた異なる、温かみと包容力を帯びた円熟のポップソングとして再構築されています。声の経年変化を受け入れ、楽曲を成熟させていくその真摯なアプローチこそが、アーティスト・持田香織の真骨頂と言えます。
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