狩人「あずさ2号」歌詞の意味と消えた8時発の真相|別れの理由を解読
『あずさ2号』を語る上で欠かせないもう一つの主役が、国鉄(現・JR東日本)の中央本線を走る特急列車「あずさ」です。歌詞に登場する「8時ちょうどの あずさ2号」は、フィクションの産物ではなく、楽曲が発売された1977年(昭和52年)3月25日当時、新宿駅を朝8時00分ちょうどに発車する下り定期特急として実在していました。
しかし、現代の時刻表をいくら探しても、新宿駅を8時に出発する「あずさ2号」を見つけることは不可能です。なぜこの伝説的な列車は姿を消してしまったのでしょうか。その理由は、日本の鉄道輸送史における最大の転換点の一つ、1978年(昭和53年)10月2日に実施された「53・10(ゴーサントウ)ダイヤ改正」にあります。
それまでの国鉄では、列車の運行号数は路線や地域によって異なる付番ルールが混在していました。中央本線の特急あずさにおいても、発車順に号数が割り振られていたため、東京・新宿から長野・松本方面へ向かう「下り列車」にも偶数番号の「2号」が存在していたのです。
ところが、全国規模での列車運行管理システム(PRC)の近代化と利用者の利便性向上を目的に、国鉄はこの改正で「下り列車=奇数号」「上り列車=偶数号」というルールを全国で厳格に統一しました。この結果、新宿駅から地方へ向かう特急列車に「偶数号」をつけることが不可能となり、新宿駅を朝8時に発車する松本行きの下り特急は「あずさ3号」(のちのダイヤ改正で5号などへ変遷)へと改番されたのです。
現在運行されている「あずさ2号」は、長野県の大町・松本方面から早朝に新宿・東京方面へと上ってくる列車です。歌詞のように「新宿から旅立つあずさ2号」は、わずか1年半余りのあいだにのみ現実に存在した、奇跡的な歴史の偶然だったといえます。
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