『E. T. 』指を合わせるシーンは本編にない?ポスターと記憶の真相

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本編に存在しないシーンが、なぜこれほど強固な「世界共通の共通記憶」として定着したのか。その決定的な原因は、映画公開時に世界中へ配布された公式プロモーションポスター(キービジュアル)にあります。

宇宙空間を背景に、青白く光る地球をバックにして、シワだらけの異星人の長い指と人間の少年の指先が触れ合い、接点からまばゆい光が放たれているあの伝説的なポスターです。このビジュアルは映画の劇中カットを流用したものではなく、高名なイラストレーターであるジョン・アルヴィン(John Alvin)氏が、本作のプロモーションのために特別に描き下ろしたオリジナルアートワークでした。

スティーヴン・スピルバーグ監督が当時ポスター制作陣に伝えたコンセプトは、「未知なる存在と人類の運命的なコンタクト」でした。これを受けたアルヴィン氏は、バチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂にある巨匠ミケランジェロの代表的な天井画『アダムの創造(The Creation of Adam)』から構図の着想を得ました。神が右手を伸ばし、最初に創造された人間アダムの左手の人差し指へと生命の火花を授けるあの象徴的なポーズです。

アルヴィン氏の手記や制作秘話によると、ポスターにおける人間の手は彼自身の娘の小さな手をモデルにスケッチされ、映画の精神的テーマである「愛」「奇跡」「生命の交歓」を1枚の絵で見事に昇華させました。結果として、このポスターが映画本編以上の爆発的なインパクトで人々の網膜に焼き付き、「映画の中で観たシーン」として脳内で無意識に置き換えられていったのです。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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