名画『戦艦テメレール号』に秘められた夕暮れの真意と蒸気船の謎
テメレール号は、英国海軍史においてまさに伝説的な存在でした。その名を決定づけたのが、1805年の「トラファルガー海戦」です。ネルソン提督率いる旗艦ヴィクトリー号が激しい集中砲火を浴びて危機に瀕した際、テメレール号は果敢に敵陣へ割り込み、フランス艦2隻を拿捕・戦闘不能にするという獅子奮迅の活躍を見せました。
この戦功によって「ファイティング・テメレール(闘うテメレール)」の愛称で国民的英雄となった同艦ですが、時代の急速な変化には抗えませんでした。ナポレオン戦争終結後は老朽化が進み、警備艦や監獄船、新兵訓練船として役割を変えながら生き延びたものの、1838年に海軍本部から廃艦とスクラップ売却が決定。テムズ川沿いのロ瑟ハイズにある解体工場へと曳航されていきました。国家を救った英雄が、用済みとなって鉄くず・木材へと解体される哀しい末路を、ターナーは見逃さなかったのです。
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