田沼意次の改革は悪政か?賄賂政治家像を覆す新事実と重商主義
長年、田沼政治といえば「賄賂」の二文字がついて回った。だが、経済史の最新研究が解き明かすのは、金銀の流通を促進し市場経済を活性化させようとした真の重商主義の姿である。田沼は特権的な商人組織である「株仲間」を積極的に公認し、彼らに運上金や冥加金といった税を課すことで、幕府の新たな財源を確保した。
これにより、幕府の収入は年貢米だけに依存する脆弱な構造から抜け出し、貨幣経済の波に乗ることに成功した。さらに長崎貿易を拡大して銅などの輸出を促進し、俵物と呼ばれる海産物を輸出して金銀の流出を防ぐなど、極めて現代的な貿易・通貨政策を展開していた。悪政というラベルの下に隠されていたのは、規制緩和と税収多角化による高度な経済戦略だったのである。
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