発作性上室頻拍の止め方と原因|突然の動悸に潜む危険性と根治治療
発作性上室頻拍は、一般的には「良性不整脈」のカテゴリーに分類されます。心室細動のように数分で心肺停止に陥るような悪性不整脈とは異なり、心臓そのもののポンプ機能が保たれていれば、直ちに命を奪われるケースは稀です。
しかし、「良性だから放置してよい」と解釈するのは極めて早計です。発作性上室頻拍には、見落としてはならない明確なリスクが存在します。
1つ目は、「血圧低下に伴う意識消失・転倒事故」です。脈拍が200回近くまで跳ね上がると、心臓が十分に血液を充填する前に収縮を繰り返すため、1回あたりの血液拍出量が激減します。その結果、脳貧血状態に陥り、強いめまいや失神を引き起こします。もしこれが自動車の運転中や駅のホームの階段を下りている最中、入浴中などに発生した場合、二次的な大事故や溺死につながる極めて高い危険性があります。
2つ目は、「WPW症候群に伴う偽性心室頻拍」の脅威です。ケント束を持つAVRTの患者が心房細動を併発した場合、副伝導路を通じて心房の細かな震え(毎分300回以上)が無制限に心室へと伝導してしまいます。これにより脈拍が毎分250〜300回に達し、最悪の場合は致死的な心室細動へ移行して突然死を招くリスクが潜んでいます。
では、この病気は時間の経過とともに自然に治るのでしょうか。結論から言えば、「解剖学的な異常回路が自然に消えて治癒することは原則としてない」というのが循環器の共通見解です。小児期のごく一部を除き、成人の発作性上室頻拍は加齢とともに心房の拡大や期外収縮の増加が重なり、発作の頻度が高くなったり、1回の持続時間が数分から数時間、半日へと長期化していく傾向が見られます。「たまにしか起きないから」と放置を続けることは、将来的な心筋疲弊(頻拍誘発性心筋症)を招く温床となります。