「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」コード進行と尾崎世界観の弾き方解説
楽曲の演奏を始める際、誰もが最初に直面するのが「カポタストの位置をどこにセットすべきか」という選択です。原曲のキーはE♭(変ホ長調)であり、カポタストなしのレギュラーチューニングでそのまま弾こうとすると、E♭、B♭、Cm、A♭といった難関のバレーコードが延々と続くことになります。ギター初心者にとってこれは挫折の直接的な原因になりかねません。
原曲の情緒を損なわずに演奏性を高めるアプローチは、大きく分けて2通り存在します。一つはローコードを中心に構成できるカポタスト3フレット装着(Key=Cプレイ)、もう一つは尾崎世界観本人のアコースティックギターの鳴りを追求するカポタスト1フレット装着(Key=Dプレイ)です。
特にリスナーの耳を冒頭から惹きつける「イントロのコード進行」には、緻密な音楽的仕掛けが施されています。カポ3(Key=C扱い)で演奏する場合の基本的なコード進行は以下の通りです。
【イントロの基本進行(Capo 3 / Key=C想定)】
| C | G/B | Am7 | Em7 | Fmaj7 | C/E | Dm7 | G7 |
この進行最大のポイントは、ベース音が「ド(C)→ シ(B)→ ラ(A)→ ミ(E)→ ファ(F)→ ミ(E)→ レ(D)→ ソ(G)」と段階的に下降していくダイアトニック・クリシェ風のベースラインにあります。ルート音がなだらかに下りていくことで、疾走感あふれるドラムビートの上にしっとりとした哀愁と浮遊感が同居するのです。初心者向け簡単コードとしてFmaj7(1弦開放、2弦1F、3弦2F、4弦3F)を代用すれば、人差し指一本で全弦をセーハするFコードを押さえる必要がなくなり、スムーズなコードチェンジが実現します。
一方、より原曲の倍音豊かなアタック感を求めるプレイヤーには「カポ1(Key=D扱い)」が推奨されます。D、A/C#、Bm7、F#m7、G、D/F#、Em7、Aというフォームになり、1弦や2弦の開放弦が美しく響くため、尾崎世界観の尖鋭的かつ繊細なギターストロークの質感に極めて近いトーンを手に入れることができます。