書類送検と逮捕の決定的な違いとは?前科・実名報道の分かれ道とその後

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実際に刑事手続きが動き出した際、当事者の生活にはどのような影響が及ぶのでしょうか。書類送検のその後の流れは、身柄事件に比べて可視化されにくいため、当事者が底知れぬ不安に苛まれるポイントでもあります。

在宅捜査では、警察での取り調べが完了した段階で事件記録が検察庁へ送付されます。送検から数週間から数ヶ月後、検察庁から「出頭要請の呼び出し状」または電話連絡が届きます。検察官による直接の取り調べは通常1〜2回程度行われ、そこで供述調書が作成された後、検察官が起訴・不起訴の終局処分を下します。

ここで極めて重要になるのが、起訴と不起訴の処分の違いです。日本の刑事裁判における有罪率は99.9%と公表されている通り、一度起訴(公判請求または略式起訴)されてしまえば、ほぼ確実に前科がつきます。社会的破滅を避けるための唯一の防波堤は、検察官の段階で「不起訴処分」を勝ち取ることです。不起訴処分には、証拠が足りない「嫌疑不十分」のほか、罪は成立するものの諸般の情状を汲み取って起訴を見送る「起訴猶予」があります。

不起訴を勝ち取るための最大の鍵を握るのが、刑事事件における示談と執行猶予の関係です。被害者が存在する事件(傷害、暴行、痴漢、盗撮、横領、財産犯など)では、被害者に対して真摯に謝罪し、示談金を支払って「宥恕条項(被疑者を許し、処罰を望まない旨の条項)」を取り交わすことが決定的な役割を果たします。検察官が処分を下す前に示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴処分となる可能性が極めて高くなります。万日起訴されて裁判に進んだ場合でも、示談が成立していれば実刑を免れ、執行猶予付き判決を得るための強力な有利情状となります。

多くのビジネスパーソンが恐れる書類送検による会社のクビ(懲戒解雇)への影響についても、冷静な分析が必要です。逮捕された場合は最長23日間の身柄拘束によって無断欠勤が続き、警察発表による実名報道と相まって会社側に露見するリスクが極めて高くなります。多くの就業規則では、長期間の無断欠勤や重大な不祥事に対する懲戒規定が設けられており、懲戒解雇の引き金になります。

しかし、書類送検(在宅事件)であれば、平日は通常通り出勤し、警察や検察の呼び出しには有給休暇などを利用して出頭することが可能です。被疑者自身が口外しない限り、捜査機関が職場へ直接通報することは原則としてありません。自著や手記で当時の心境を語った過去の当事者たちの多くも、「在宅事件であったからこそ、会社に発覚することなく水面下で弁護士を通じて被害者と示談をまとめ、不起訴によって社会的生命を守り抜くことができた」と証言しています。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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