「白髪を抜いたら増える」噂の真相とは?医師が警告するリスクと対処法
白髪の正体を正しく知るためには、毛根のミクロ構造を理解しておく必要がある。本来、毛母細胞で分裂したばかりの髪の毛はすべて「無色透明(白)」である。これに黒い色を付けているのが、毛球部に存在するメラノサイト(色素形成細胞)だ。
メラノサイトはアミノ酸の一種であるチロシンを取り込み、酵素チロシナーゼの働きによってユーメラニン(黒〜褐色系色素)やフェオメラニン(黄〜赤系色素)へと合成する。生成されたメラニン色素が毛母細胞へと受け渡されることで、私たちの髪は一本一本黒く染まって頭皮から押し出される。
このメラノサイトの供給源となっているのが、毛包の「バルジ領域」と呼ばれる浅い部分に存在する色素幹細胞である。色素幹細胞は必要に応じて分裂し、メラノサイトへと分化して毛球部へと移動していく。しかし、加齢や遺伝、強い酸化ストレス、血行不良などの影響によって色素幹細胞が自己複製能力を失ったり枯渇したりすると、メラノサイトが作られなくなる。その結果、色が着色されないまま伸びてきたものが白髪の物理的実体だ。
なお、2026年最新の白髪研究動向においては、毛包内における活性酸素(過酸化水素)の蓄積がチロシナーゼの活性を阻害する機序や、幹細胞の可逆的制御に関する分子レベルの解析が急速に進展している。一過性の過度なストレスで休止していた色素幹細胞が環境改善によって再活性化し、白髪の根元から再び黒髪が生えてくる現象も報告されているが、それは毛包組織が無傷であってこそ期待できる回復である。
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