三菱重工爆破事件の真相と動機|犠牲者被害から犯人の現在まで総力検証
白昼の無差別爆破という凶行に及んだのは、東アジア反日武装戦線「狼」と名乗る極左地下組織でした。彼らは既存の新左翼党派(共産主義者同盟や全学連など)の街頭闘争や内ゲバに背を向け、合法的市民生活を隠れ蓑にしながらゲリラ戦を展開する完全非公然の「ノンセクト・ラジカル」として結成されました。
彼らを凶行へと駆り立てた根本的な動機は、独自の過激な「反日亡国論」と植民地支配への贖罪意識でした。中心人物であった大道寺将司らは、明治以降の日本がアイヌモシリ(北海道)や沖縄を同化政策で侵略し、アジア諸国を植民地化した歴史を糾弾。日本国家そのものを「犯罪国家」と断じ、経済復興を遂げた現代日本を「アジア再侵略を企てる帝国主義」と規定しました。
その中で三菱重工業が第一の標的として選ばれた理由は明確でした。三菱重工は戦前・戦中にゼロ戦や戦艦武蔵などを製造した軍需産業の中核であり、戦後も防衛庁(当時)への装備品納入や東南アジアへの積極的な経済進出を主導していたためです。彼らは三菱を「帝国主義の尖兵」「アジア侵略の元凶」と決めつけ、企業活動を物理的に破壊することがアジア人民への連帯であり正義であると盲信していました。
東アジア反日武装戦線は、自分たちの細胞(ユニット)に以下のような獰猛なコードネームを冠し、役割分担を行っていました。
- 「狼(おおかみ)」班:大道寺将司、大道寺あや子、片岡利明らによって結成された中核グループ。三菱重工爆破事件を計画・実行。
- 「大地の牙(だいちのきば)」班:齋藤和、浴田由紀子らで構成。主に海外進出企業やインフラ関連の攻撃を担当。
- 「さそり」班:黒川芳正、宇賀神寿一、桐島聡らが所属。中堅・中小の下請け搾取や警察関連を標的として後続合流。
彼らは社会的には真面目な会社員や学生、書店員として日常生活を送り、公安警察の尾行や監視を巧妙にかいくぐりながら、山中で手製の爆薬実験を繰り返して殺傷能力を高めていきました。この「昼は善良な市民、夜はテロリスト」という二重生活が、捜査陣の初動を大きく遅らせる要因となりました。
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