ムッソリーニとヒトラーの真実|師弟逆転と破滅へ至る共依存の軌跡
第二次世界大戦の独裁者たちの胸の内は、残された一次資料から生々しく浮かび上がってきます。ムッソリーニの娘婿であり外相を務めたガレアッツォ・チアーノの日記には、ヒトラーに対するムッソリーニの激しい憤りとコンプレックスが克明に記されています。
ヒトラーがポーランド侵攻やフランス侵攻をイタリアに事前通告なしで開始するたび、ムッソリーニは「同盟国を召使いのように扱っている」と激昂しました。自尊心を傷つけられたムッソリーニは、ドイツに対抗しようと軍備の整わないままギリシャや北アフリカへ無謀な侵略を開始。しかし各地で手痛い敗退を喫し、結局はドイツ国防軍に救援を請うという屈辱を繰り返すことになります。
一方のヒトラーは、軍事的な足手まといとなったイタリアに苛立ちを募らせながらも、ムッソリーニ個人への異常な執着と敬意を捨てきれませんでした。宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスの日記によれば、ヒトラーは周囲の将軍たちがイタリアを無能と嘲笑するなかでも「ドゥーチェだけは別だ。彼はローマの精神を持つ唯一の男だ」と擁護し続けました。
この関係性は、互いが互いの弱点を埋め合わせるのではなく、相手の存在によって自らの破滅を加速させていく、典型的な「権力者同士の心理的共依存」の様相を呈していました。
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