荒地の魔女がおばあちゃん化した謎を解剖!サリマンの罠と同居の真相
自分に一生を台無しにするような残酷な呪いをかけ、若さを奪った張本人。普通の人間関係であれば、サリマンに魔力を奪われてへたり込んだ荒地の魔女を見捨てるか、復讐の念に駆られても不思議ではありません。しかしソフィーは、階段の上で倒れそうになる魔女の手を引き、サリマンの飛行艇を奪って逃走する際も、当たり前のように彼女を抱きかかえて連れ帰りました。この一見不条理にも思えるソフィーと同居する理由には、2人の心理的な共通項が深く関わっています。
第1に、「すでに老いを生きている者同士の奇妙な連帯感」です。ソフィー自身、映画の序盤で呪いによって90歳の老婆に変えられました。しかし彼女は絶望するどころか、「年寄りって悪くないわね、驚かないし、失うものが少ないもの」と、老婆の身体に妙な居心地の良さを見出していきます。自らも「作られた老い」を生きる中で、老いることの不自由さ、孤独、そしてそこから生じる図太さを骨の髄まで理解していたからこそ、魔力を失ってよぼよぼになった魔女の姿を見たとき、復讐心よりも先に「放っておけない」という生理的な同情が勝ったのです。
第2に、ソフィーが生来持っている過剰なまでのケア意識(長女気質)です。下町の花形帽子屋を健気に守り、奔放な母や妹の世話を焼き続けてきたソフィーにとって、無力化された者を保護し、世話をすることは自己の存在証明でもありました。城の中では、カルシファーを操り、マルクルの母親代わりとなり、わがままなハウルを窘める「一家の大黒柱」として機能していたソフィー。そこに手のかかる「認知症の祖母」のような荒地の魔女が加わることは、ソフィーが築き上げた疑似家族の完成を意味していたともいえます。
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