映画『血と骨』の狂気は実話?金俊平のモデルと怪演の真相を徹底解説

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映画『血と骨』を語る上で避けて通れないのが、主人公・金俊平の圧倒的なリアリティです。劇中で描かれる金俊平のキャラクター造形は、フィクションの産物ではなく、原作者である梁石日(ヤン・ソギル)の実父・梁元錫(ヤン・ウォンソク)氏という実在の人物を忠実にトレースしたものです。

1923年、大正末期の済州島から「成功」を夢見て大阪へと渡った金俊平の実在モデルは、その並外れた強靭な肉体と凶暴性で、周囲の同胞のみならず街の極道組織からも恐れられる存在でした。戦前・戦後の混乱期、大阪の猪飼野(現在の生野区周辺)に開設した蒲鉾(かまぼこ)工場を足がかりに巨万の富を築き上げ、さらには高利貸しへと業態を移して暴利を貪ります。しかし、その事業の成功と反比例するように、家庭内は地獄の様相を呈していきました。

原作者の梁石日氏は、当時の特番インタビューや自著・手記の中で「父はまさに怪物そのものであり、家庭内暴力という言葉では生ぬるいほどの暴君だった」と述懐しています。実の妻子に日常的な鉄拳制裁を加え、妻の目の前で愛人を囲い、自宅の敷地内に別の家庭を作って同居させるなど、常軌を逸した支配欲と性欲を剥き出しにしました。劇中に登場する「蛆虫(うじむし)の湧いた肉を平然と洗って鍋に入れる」「実の息子を半殺しにするまで殴打する」といった数々のエピソードも、梁石日氏が幼少期に直接目撃した体験がそのまま反映されています。

晩年の金俊平は、脳卒中で身体の自由を失いながらも欲望の炎を消すことはありませんでした。愛人との間にできた子どもたちを連れ、1960年代から1970年代にかけて行われた「帰国事業」によって北朝鮮へと渡航。全財産を注ぎ込んで豪勢な生活を企図したものの、現地の共産主義体制下で財産を没収され、極貧と孤立の中で悲惨な最期を遂げたと伝えられています。一代で巨富を築き、欲望の限りを尽くし、最後は異国の地で朽ち果てていった金俊平の生涯は、まさに時代の波が生み出した怪物そのものでした。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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