江戸川乱歩『芋虫』なぜ発禁に?狂気のあらすじと結末の真相を徹底解説

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本作は1929(昭和4)年、雑誌『新青年』に『悪夢』の仮題で掲載が予定されていましたが、当時の内務省による検閲を警戒した編集部側の自主規制により大幅な改稿を余儀なくされ、翌年に改造社の『江戸川乱歩全集』第8巻にて『芋虫』と改題されて収録されました。しかし、日中戦争が激化し国家総動員法が施行された後の1939(昭和14)年、治安維持および風俗壊乱の理由から全文削除・発売禁止(発禁処分)が下されます。

発禁となった最大の理由は、天皇のために戦った傷痍軍人(軍神)を、単なる性の玩具や無力な「芋虫」としてグロテスクに描写した点にありました。当時の国家体制において、戦傷者は崇高な犠牲者として称揚されるべき存在であり、本作のような「肉欲と支配欲にまみれた醜悪な実態」を描くことは、軍の尊厳を著しく冒涜する反戦・厭戦的な危険思想とみなされたのです。

乱歩自身は政治的なプロパガンダを意図して執筆したわけではなく、あくまで「孤立した肉体における異常心理」を追究したと語っていますが、結果として国家が掲げる戦争の美談を根底から解体する破壊力を持っていたことが、厳格な弾圧を招く引き金となりました。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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